新潟市の一角に、いつの間にか生まれて、ひっそりと姿を消した小さな池、「異人池」をご存じですか?
はい、自分はこの異人池の存在、つい3週間前くらいに知りました(恥)
新潟在住5年目に早なりますです。。
じりじり焼け付くような陽射しの中海まで歩いている途中に教えてもらいました。
偶然にもこの絵本発刊の前日でした。
と言ってもこの絵本の初版は1986年。
わお。ほぼ同年代。
福音館書店から発行されましたが、つい最近まで絶版となり、
「掘割再生町づくり新潟」のプロジェクトでNPO法人により1000部限定で復刊されました。
新潟市内の4書店(萬松堂、北光社、文信堂、考古堂)で発売されています。
この絵本の中心はあくまで一つの池の存在。
100年以上前の異人池が出来る前からついに枯れてしまうところまで
時代や近隣住民の様子、池に集まる生き物等が細かに描かれています。
カトリック教会を建てた際に井戸を掘ったところ、みるみる内に大きくなり池となり、
外国人の神父さん達の居る教会のそばにあったことから異人池と呼ばれるようになったとか。
全体水彩で伸びやかで淡いようなイメージなのですが、よくよく見てみると本当に細やかで
そのページの時代に池の周辺に伸びていた草花や生き物が図鑑のように描かれています。
まるで池が一つの生命体のように自分には感じられました。
これまでは高い所から景色として見下ろすか、車でぱぱーっと通るくらいだったのですが、
こないだ実際に歩いて見ると、街並みがどことなくモダンで綺麗なんだなーとはしゃいでしまいました。
海と河に囲まれた水の都で、堀が重要な役割をしていたと言う新潟。
自分は歴史とか得意では無いし、その土地土地の深い意味なんて
それこそ旅行等の特別な場所でしか意識することは無いのですが
自分の生活の場となっている新潟の時代の移り変わりを
ちょっとした展覧会やこのような形でふと垣間見ると
素直に面白いと感じ、何だか知的好奇心がうずうずと。してきますね。
数年前まで新潟大嫌いだったのに(ここだけの話。)。
今絵本はとても色鮮やかで優しく、単純に綺麗で
文芸書や文庫新書とはまた違った目的で大人の方が購入される事も多いです。
俗に言う癒しと言うやつかもしれません。
けどこんな風情でいかにも昔から家にあるようだとか
町の歯医者さんとかの待合室に何気に置かれているような
ちょっと固めな絵本、何とも言えなく良いなぁとぞくぞくしちゃいます(変態)
勉強になる、なんて言葉使いたくないのですが、
スイミーとかぐりとぐらとかの様に子供が積極的に好きになるようなものとはまた異なって、
むしろ好きとか嫌いとか考えることも無く何となく手に取って当たり前の様に読んでしまうような
そういう類かなと。
詳しく書いてまとめればいくらでもある程度の厚みを持つ
ハードカバーの一冊の書籍になりそうな内容だと思うのですが、
あくまで“絵本”なのが重要なんだろうな。
ある意味大人のための、子供の絵本なのかも。
子供のための、大人の絵本でもある?
兎角この絵本を読んだ後のこの気持ちでまたどっぺり坂やあの辺り、歩きに行きたいです◎